潜在意識ってなに？無意識と何が違うの？

人には自覚のない意識というものがあります。「箸を持つ」「靴を履く」といった動作は意識せずにできますし、「狭い場所は苦手」「幽霊は怖い」といった感覚も、直感的に感じるものだと思います。

そのような無自覚の意識の事を潜在意識と呼び、人格や人生に大きな影響を与えると考えられています。

潜在意識とは何なのか？顕在意識や無意識についても紹介します。

潜在意識とは

潜在意識とは、人の根幹に根付いた無自覚の意識のことです。食事、運動、思い出など、あらゆる要素によって形成された感情や感覚が、本人が忘れていても潜在的な意識として残り続けます。

例えば、子供のころに海で溺れた経験があったとします。子供のころは怖かった経験も、大人になればなんてことはない事はよくあることです。ですが、その経験が印象的だと、意識の奥底に残り続けるのです。

たとえ本人が忘れてしまったとしても、潜在意識は残り続けます。「海は怖い」と何となく感じ、苦手意識を持つようになるでしょう。

もちろん、必ず潜在意識に刷り込まれるわけではありません。「家族と遊んで楽しかった」「すぐに親が助けてくれて頼もしかった」など、別の経験があれば、刷り込まれ方も変わってきます。一つの出来事によって潜在意識が構築されるのではなく、様々な経験によって意識が刷り込まれていくわけです。

感情や思考が育つ過程で根付いていくことから、特に5歳までの経験が強く影響をします。潜在意識には常識や善悪の区別なども含まれており、5歳までの経験によって人格が形成されるといっても過言ではありません。

顕在意識と潜在意識

人の意識は、顕在意識と潜在意識によって成り立っているといわれています。顕在意識とは自覚できる意識のことであり「人を殴るのはダメ」「喉が渇いたから水を飲む」といったように、自覚して考える事のできる意識の事を指します。

一見すると、自覚できる顕在意識の方が割合的に優位だと思うかもしれませんが、実際には逆で、潜在意識の方が意識全体の約95％を占めているそうです。

つまりは、普段考えながら生活していると思っても、実際には、潜在意識によって無自覚に選んで生活しているということになります。

好き嫌いはもちろん、閃きや直感、緊急時の対応など、多くのことに潜在意識は影響します。

普段何気ない、突発的な行動の全てに潜在意識が関わっているのです。

無意識と潜在意識

潜在意識以外にも無意識というものがあります。無意識とはその名の通り、「自覚の無い意識」のことです。

潜在意識との違いは、「本人が関わりない意識」であることです。潜在意識は「幼いころに得た経験によって刷り込みされる」ことで潜在意識となりますが、無意識は幼いころに得た経験とは関係なく生じたりします。

例えば、子供のころから海を知らなくても、何となく「海が怖い」と感じるのは無意識が影響をしています。初めてだから「海は怖い」と知るはずもありませんが、なぜか「海は怖い」と感じるのです。

心理学上では、「人間には個人の意識よりもさらに深い領域に集合的無意識が存在する」と考えられています。大まかにいってしまえば「民族や種族の根底的な意識」のことであり、「動物は火を怖がる」といったような、人類全てに当てはまる普遍的な無意識のことを指します。解剖学的には「人類という遺伝子に記憶された情報」ともいえるでしょう。

また、スピリチュアル上では少し違い、「前世からの記憶」と考える場合もあります。魂は輪廻すると考えられており、前世で何かしらの恐怖を感じていたため、今世でも「海は怖い」と感じるわけです。

無意識は潜在意識と似ていますが、その実態は、「さらに直感的な深層意識」といえるでしょう。

ただ、潜在意識も無意識であることには変わりありません。同一視して考える場合もあり、難しく分けて考える必要もないでしょう。無意識の一種が潜在意識であり、意識は「自覚あり（顕在意識）」と「自覚なし（潜在意識）」の2種類があると思ってください。

潜在意識のコントロール方法

「潜在意識をコントロールできれば、嫌いなことも克服できる」と思うかもしれませんが、基本的に潜在意識はコントロールできないといわれています。潜在意識は幼少期に植え付けた常識や人格ですので、後に変更するのは簡単なことではないからです。

ただ、全くコントロールできないわけではなく、「繰り返し自覚する」ことで少しずつですが変化はします。「海が怖い」と感じる人も、海で遊んだり、家族と一緒に出かけるなどすることで、「海は楽しい」と変化していくわけです。

うつ病治療の一環にもあり、「自分は必要とされている」「努力の結果が出ている」と繰り返し自覚させることで、ネガティブな思考がポジティブに変化します。

潜在意識をコントロールすることで、苦手分野を克服したり、新しい考えを身に着けることもできるでしょう。理想となる自分を想像し、その姿に向けて潜在意識をコントロールしてみてください。

潜在意識を知ることから始めよう

潜在意識を知れば、苦手な部分も見えてきます。苦手な部分を集中的に克服するのはもちろん、得意な部分も伸ばしやすくなり、より理想的な自分を実現することができます。

現在の自分に不満や悩みがある人は、普段の行動や考えを自覚してみて、少しずつコントロールしてみると良いかもしれません。

ただ、改変するのが必ずしも良いわけではありません。場合によっては世界観や価値観も変わり、別人のようになる場合もあります。潜在意識をコントロールするのも良いですが、まずは、苦手なことを補うことから始めてみましょう。