ストレス診断って本当に必要?実施する理由と内容について

ストレス診断とは、2015年から全労働者に実施することが義務づけられた診断のことです。様々な企業で実施されていることから、体験したことがある人も多いと思います。

ですが、中には「診断する必要があるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。自分のことなのだから、わざわざ診断しなくても分かっているからです。面倒だからといって診断をしない人もいるかもしれません。

ストレス診断は、なぜ実施する必要があるのでしょうか?

 

ストレス診断って必要?

ストレス診断をする最大の理由は、「自覚していないストレスを自覚させる」ことです。

ストレスというものは、普段何気なく生活するだけでも溜まっていきます。上司との会話、残業、肉体労働、勉強、育児など、ストレスが溜まる原因は人それぞれです。

多くの場合、ストレスを感じると「嫌だな」「辛いな」と自覚できますが、人によってはストレスに無自覚な人もいます。中には、「私が悪いから」「雰囲気が悪くなるから」など、ストレスを我慢してしまう人もいるでしょう。

もちろん、好きなことをしてストレス発散をすれば問題ありませんが、仕事や家事が忙しいと簡単にはできません。

発散されないストレスは次第に溜まってしまい、最終的には精神疾患や体調不良などの症状が生じてしまいます。

また、ストレスが溜まると精神的余裕の無さや疲労などから正常な判断が難しくなります。「毎日残業」「休日無し」といった異常な状況も、「当たり前」と思ってしまうわけです。

そのような、「ストレスに気が付かない」「正常に現状を把握できない」人のために、中立的な診断によってストレスの有無を確認します。

ストレスが分かれば意図的に休むことができますし、企業としても、問題を把握して労働環境の改善などが行えるため、ストレス診断はとても重要なのです。

労働者50未満の企業は実施義務が無い

2015年に実施が義務化されたストレス診断ですが、実は「労働者が50人未満の会社(事務所)」は、義務化の対象外になっています。そのため、町工場や小売店といった、少人数で経営している会社は、ストレス診断をしないことが多いです。

ですが、ストレス診断は労働者と会社の現状を知るために重要な診断です。労働者が少なく近しい間柄だからこそ感じるストレスもあります。

あくまでも義務化していないだけであって、労働者が50人未満の会社でもストレス診断は実施することができます。

会社が実施しなくても自分で行い、現状のストレスを把握するようにしましょう。

 

ストレス診断の内容

ストレス診断は、主に筆記と問診によって行われます。

筆記は、主にマークシートでの実施です。質問票が渡されますので、記入して提出します。

質問票の内容は特に決まっていません。「ストレスの原因に関する内容」と「ストレスによる自覚症状」について質問できれば、細かい部分の指定は無いのです。

とはいえ、すべて企業任せでは「何を質問したらいいか」分からず困ってしまいます。そのような企業は、厚生労働省が作成・配信する「職業性ストレス簡易調査票」を参考にするといいでしょう。

問診は、医師や保健師など、医療関係者によって行われます。上司や社長が行っても緊張して正直な内容は言えませんので、医療関係者しか行えません。もし、問診や質問票の内容から高ストレス患者だと判断された場合には、面接指導を行うこともあります。

筆記と問診、どちらの場合でも嘘はいけません。嘘を言われると正確に状況を把握することができず、ストレス診断の意味が無いからです。

診断内容は、実施事務従事者(検査を集計する人)と担当医師しか知ることはありません。上司はもちろん、会社の事務でさえ、実務者が望まない限りは知ることが無いのです。

上司や会社のことは気にせず、素直な気持ちで診断を行いましょう。

 

質問票内容例

・一生懸命働かなければいけない

・部署内での意見の食い違いがある

・ひどく疲れる

・何をするにも面倒だ

・気軽に相談できる人はいるか

・仕事内容に満足している

など

 

ストレス診断は意味が無い?

自身と会社の現状を把握するために必要なストレス診断ですが、人によっては「意味が無い」と言う人もいます。というのも「診断結果は全て自己評価」だからです。

日本人の悪い習慣に「我慢は美徳」とする考えがあります。「辛い事でも我慢して努力することが大切」という武士の考えが元とも言えますが、それのせいで辛い事であっても簡単には言い出せない状態となっています。

「辛いと言える内はまだ大丈夫な証拠」という言葉を聞いたことがありますが、まさにそれであり、本当にストレスが溜まり危険な人は、我慢をしてしまい本当のことを話してはくれません。

その結果、診断内容の結果を全て良好な内容にすることもよくあります。

他にも、ストレスが無自覚なことで自己診断に間違えがあったり、会社からの圧を気にして正直に答えられなかったりなど、必ずしも正しい診断ができるとは限らないのです。

ストレス診断が無駄だとは言いませんが、実施したから大丈夫というわけではないことを知っておきましょう。

 

普段からストレス発散を意識する

ストレス診断は、自身の現状を把握するためにとても重要なことです。普段平気だと思っている人も、いざ診断して見返してみると、知らない間にストレスが溜まっていたと言う人も珍しくはありません。

ストレスは、ただ嫌な気分にさせるだけではなく、時として鬱病や胃潰瘍などの問題も生じます。限界を超えれば、自殺を決意する人も出てくるでしょう。

何か問題が生じてからでは遅いです。普段から楽しいことや好きなことをして、ストレスを感じない生活を心がけてください。

もちろん、人によっては心がけても難しい場合もあります。そのような場合でも決して一人で抱え込まず、家族や友人、医師に相談してストレスに向き合っていきましょう。

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