ゲン担ぎとジンクスの違いとは？有名な例についても紹介

ゲン担ぎやジンクスといった言葉を聞いたことがありますか？どちらも縁起を担ぐ際に使われる言葉であり、耳にした経験のある人もきっといることでしょう。特に受験シーズンになるといたるところで耳にし、お世話になった事のある人も多いと思います。

そんなゲン担ぎやジンクスですが、実は、それぞれ別の意味があります。どちらも縁起に関することではありますが、同じではありません。

ゲン担ぎとジンクスはどのように違うのか。いくつかの例も合わせて紹介します。

ゲン担ぎとジンクスの違い

ゲン担ぎとは、「良い物事を願って繰り返す行動」のことです。ゲンとは漢字で「験」と書き、「結果が形となってあらわれること」といった意味があります。

また、「担ぐ（ぎ）」とは「物事を気にする」といった意味があります。つまりは「験を担ぐ」とは「結果が表れるのが気になる」といった意味となり、結果が出るのを願って繰り返す行為のことを指すわけです。

一方ジンクスとは、「不幸を招く」ことを指します。ジンクスの語源は「jinx」であり、意味は「縁起が悪いもの」を意味します。

ゲン担ぎとジンクスはそれぞれ「幸運」と「不運」を意味し、同じ運気に関係することでも、全く逆の意味であるといえるでしょう。

ただ、日本ではジンクスを、「縁起が良いこと」として扱う場合も多いです。実際に、辞書では「縁起の良い、または悪い言い伝え」と説明されており、縁起が良い場合もジンクスとしてまとめています。

厳密には異なりますが、ゲン担ぎは「運気を上げる行為」、ジンクスは「縁起に影響する出来事」と思っておくといいでしょう。

ゲン担ぎとルーティンの違い

ゲン担ぎのように、同じ行動を繰り返す言葉にルーティンというものがあります。意味は「日課」や「習慣」といった意味があり、毎日繰り返すことをルーティンといいます。

ゲン担ぎとの違いは、願掛けをしているかどうかです。ゲン担ぎもルーティンと同様に毎日行うものですが、「毎日行うことで願いが叶う」といったように、行動に意味を持たせます。

一方ルーティンは、ただの習慣です。行動に深い意味はなく、毎日必要だから繰り返し行います。

ゲン担ぎからルーティンになることも珍しくはありませんが、「ルーティン＝ゲン担ぎ」ではありませんので注意してください。

ゲン担ぎの主な内容

ゲン担ぎにはどのようなものがあるのか。有名なゲン担ぎをいくつか紹介します。

とんかつやかつ丼を食べる

勝負事の際に行うゲン担ぎです。かつを「勝つ」と見立て、「勝つ」を食べることで勝利することを願います。

ゲン担ぎとして知られていますが、豚肉にはエネルギーとして活用されるたんぱく質やエネルギー効率を促すビタミンB1が豊富に含まれており、とんかつを食べることでスタミナ回復効果が期待できます。

エネルギーが漲ることで勉強や練習も頑張れるようになり、本番でより良い結果を発揮できるようになるでしょう。

五円玉を身に着ける

良縁を結ぶゲン担ぎです。五円を「ご縁」と見立て、「ご縁」を身に着けることで、良縁が結ばれることを願います。

また、お賽銭に五円を入れる人も多いです。神様との縁を結ぶことで、願いが叶いやすくなると考えられています。

また、五円には穴が開いていることから、「先が見通せる」とした意味でも使われます。縁起物として扱われることも多く、お守りやお財布に入れておく人も少なくはありません。

試験には五角形の鉛筆を使う

合格を願うゲン担ぎです。五角を「合格」と見立て、「合格鉛筆」を使うことで、合格できるよう願います。

受験前に流行るゲン担ぎであり、五角鉛筆で勉強する人は多いです。

他にも、先が見通せることから「レンコン」。試験にパスできることから「タコ（オクトパス）」。五角で粘り強く勝てることから「オクラ」。きっと勝てることから「キットカット」など、様々なゲン担ぎが受験前には販売されています。

狸の置物を置く

商売繁盛を願うゲン担ぎです。狸を「他抜き」と見立て、「他抜き」を置くことで他の店より抜きんでて繁盛することを願います。

他にも、招き猫や蛇の置物なども、一種のゲン担ぎです。風水として扱われますが、極論をいってしまうと、風水もゲン担ぎと変わりません。

縁起の良い置物を置くことで、商売繁盛の験を担ぎます。

○○断ち

成功を願うゲン担ぎです。タバコやお酒など、物事が成功するまで好きなことを断つことで、成就を願います。

良運も悪運も平等であるため、好きなことができないことを悪運とし、願いの成就に良運が使われるよう願うわけです。

また、好きなことを断つことで、物事に本気になれます。好きなことをしたいがために一所懸命に頑張ることができ、良い結果も残せるでしょう。

ジンクスの主な内容

ジンクスにはどのようなものがあるのか。有名なジンクスをいくつか紹介します。

黒猫が横切ると不幸になる

「黒猫が横切ると不幸になる」といわれています。黒猫は魔女のお供として昔から思われており、黒猫が横切るのは魔女に目を付けられたからと考えられているからです。

他にも、黒は悪魔や黒死病といった悪いイメージも多く、不安や不吉な色として扱われることが多いといえるでしょう。

同じような理由から、カラスもあまり良いイメージはされていません。カラスが集まっていると、不吉な印象を与えます。

ただ、日本では元々、黒猫は「福猫」として扱われてきました。暗闇では特に目が目立つことから「夜でも目が見える」とされ、不吉なものを見張る魔除けとして扱われていたからです。

また、日本以外でも、黒猫を福猫とする国はいくつもあります。黒猫が不吉なのは西洋文化が日本に入ってきたからであり、ジンクスによって歪められたからといえるでしょう。

悪い噂と良い噂の両方があることから、まさに日本のジンクスらしいジンクスといえます。

夜中に爪を切ると親の死に目に会えない

「夜中に爪を切ると親の死に目に会えない」といわれています。夜中に爪を切るのは危険なため、夜中の爪切りを防ぐため、言い伝えとして広められました。

当時の灯りは今よりも暗く、灯りを付けても手元がよく見えませんでした。爪切りの精度も悪いことから、夜に爪を切ると、誤って別の部位も切ってしまう恐れがあったのです。

誤って切った場所から雑菌が侵入し、それが原因で亡くなってしまう可能性もゼロではありません。その結果、親が亡くなるよりも先に亡くなってしまい、「親の死に目に会えない」といわれるようになります。

現在は、技術も医療も進歩していることから、昔のような事態になることは滅多にありません。ですが、当時の言い伝えだけは残り、現代に伝わっているわけです。

他にも、「夜に口笛を吹くとヘビが出る」といった言い伝えも、昔ながらの言い伝えが理由となります。

状況が異なることから現在では意味のない言い伝えですが、「不吉な減少を呼び寄せる」ジンクスとして今でも知られているのです。

朝蜘蛛は殺すな、夜蜘蛛は殺せ

「朝蜘蛛は殺すな、夜蜘蛛は殺せ」といわれています。これは、蜘蛛が幸運を運ぶ象徴だと考えられているからです。

蛇が弁財天の使いとされているように、蜘蛛はお釈迦様の使いとされています。ありがたい生き物であることから、見かけることで一日の運気が向上すると考えられてきました。

一方で、夜の蜘蛛は運気が離れる事を意味します。「泥棒が入る前触れ」ともいわれており、トラブルを避けるためにも、駆除した方が良いとされています。

とはいえ、あくまでもジンクスですので、夜に蜘蛛を見かけても、極力逃がすようにしてください。多くの蜘蛛は益虫であり、逃がすことで後々のメリットとなります。ムダな殺生をしない意味でも、駆除しない方向で考えてみてください。

鏡を割ると7年不幸が続く

「鏡を割ると7年不幸が続く」といわれています。これは、本人が受けるはずだった不幸の代わりに、鏡が不幸を受けて割れたためと考えられているからです。

不幸は立て続けに起こるものであり、一度の不幸で終わるとは限りません。今後7年は、不幸を警戒する必要があるでしょう。

また、似たようなジンクスに「コップが割れたら持ち主に不幸がある」といったものもあります。

あくまでもジンクスではありますが、関係する物が壊れる際には、何かしらに警戒をした方が良いのかもしれません。

ゲン担ぎもジンクスも根拠はない

いろいろとゲン担ぎとジンクスについて紹介しましたが、実際のところ、どちらも科学的根拠はありません。ゲン担ぎをしてもダメなものはダメですし、ジンクスに遭遇しても上手くいくときには上手くいきます。

ただ、どちらの場合も、精神的な影響は大きいです。ゲン担ぎをしておけば「ゲン担ぎもしたし」と自信が持てますし、逆にジンクスに遭遇したことで「運気が下がっているから上手くいかない」と思ってしまうと、本来の実力を発揮できないでしょう。

ゲン担ぎもジンクスも、大切なのは心の持ちようです。良いことはそのまま受け取り、悪いことは「所詮ジンクスだから」と流してしまいましょう。

まとめ

ゲン担ぎとジンクスの違いは、「幸運を願う行為」と「不幸を暗示する出来事」といった違いがあります。それぞれ「幸運と不幸」「行為と出来事」といった逆の意味がありますので、間違わないよう注意してください。

とはいえ、日本ではそれぞれの違いはあまり気にされていません。「運気向上のジンクス」として紹介されることも多く、詳しく使い分ける必要はないでしょう。

大切なのは、ゲン担ぎやジンクスによる結果といえます。内容を選んでゲン担ぎやジンクスを行い、良い結果を手に入れてください。