発汗状態で健康が分かる？不健康な汗とは

汗には良い汗と悪い汗があるのを知っていますか？簡単に説明すると、良い汗はサラサラした無臭の汗のことで、悪い汗は粘々した臭い汗のことです。同じ汗なのに、なぜ違うのか疑問に思った人もいることでしょう。

実は良い汗と悪い汗の違いは、人の健康状態によって変わってきます。健康なら良い汗を流しますが、不健康なら悪い汗を流すのです。

不健康な汗（悪い汗）は何が原因なのか？臭くなる仕組みなどを紹介します。

汗が出る仕組み

一般的に、汗は汗腺と呼ばれる部分から分泌されます。皮膚下にある温度受容器によって基準より高温を感じると、脳から汗腺へと指令が飛ばされ、汗が分泌することで体内の熱を取り去るのです。

また、汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺があり、それぞれ分布や汗が出る条件は違います。

エクリン汗腺は全身にある汗腺です。体温調節時だけではなく、ストレスを感じた際に出る冷や汗（精神性発汗）や、辛い物を食べた際の汗（味覚性発汗）もエクリン汗腺から分泌されます。精神性発汗や味覚性発汗は刺激によって反射的に分泌するようなものであり、刺激を感じなくなればすぐに汗が引くのも特徴的です。

一方、アポクリン汗腺は毛が密集している場所にある汗腺です。腋の下、胸部、頭頂部、下腹部などに分布しており、主に体温調整目的で汗を出します。

運動した後と辛い物を食べた後のように、状況によって汗の出方が違うのは、分泌する汗腺が違うからといえるでしょう。

汗の成分

汗には、水分の他にもミネラルが含まれています。汗の成分は血液から血球を取り除いた液体成分であるため、血液から分泌する際にミネラルも一緒に排出されます。

ただ、ミネラルが含まれるとはいっても、血中にあるミネラル全てが含まれるわけではありません。汗として分泌する際に体組織がフィルターとなって水分だけをろ過するため、ろ過しきれなかった分のわずかなミネラルが、水分と一緒に排出されるのです。

ミネラルには、体内の塩分も含まれています。夏に塩分補給が必要なのも、汗と一緒に流れてしまうからといえるでしょう。

汗によって不健康かどうかが分かる

汗は、その人の健康状態も表します。健康な人の汗と不健康な人の汗は成分や分泌量が違い、調べることで体の状態が分かるのです。

不健康な人の汗はどのようなものなのか。紹介します。

不健康な人の汗は臭くて白濁している

体が不健康な人の汗は、臭いと粘度が強く、白濁した色をしています。その理由は、汗に脂質や糖質などが豊富に含まれているからです。

「汗は血液から作られ、水分以外の成分をろ過されながら排出される」と説明しましたが、不健康な人の血液内には脂質や糖質などが豊富に含まれており、体組織のフィルターを通しても充分なろ過はできません。その結果、健康な人よりも不純物の混じった汗を流すようになります。

脂質や糖質といった有機物は、時間が経つと腐敗し臭くなります。不健康な汗には脂質や糖質が豊富に含まれているため、ほとんど水分である健康的な汗と比べて臭いのです。

不健康な人は汗をかきにくい

普段から汗をかかない生活をしていると、汗が臭くなります。その理由は、水分が少なく成分濃度の強い汗をかくからです。

健康な人は、正常に汗腺が働くため充分な水分を分泌します。汗の成分的に水分がほとんどのため、サラサラして臭いもほとんどありません。

ですが、普段から汗を流さない人は、汗腺の機能が低下しています。その結果、充分な水分が分泌されず、相対的に脂質や糖質といった成分濃度が高くなります。

上記でも紹介したように、不純物の多い汗は、粘度が強く臭いも強烈です。たとえ食生活に気を付けていたとしても、汗をかかない不健康な生活を送ることで、不健康な汗を流すようになるでしょう。

多汗は病気の可能性がある

汗をかかないことを不健康だと紹介しましたが、逆に汗をかきすぎるのも問題となる場合があります。病気の中には神経伝達や体機能に異常をきたすものもあり、それによって通常よりも余計に汗を流しているかもしれないからです。

汗が多量に出るのは主に多汗症であると診断される事が多く、原因は脳内の何らかの異常によって発汗を促す交感神経が促進しすぎていると考えられています。

また、低糖尿病や甲状腺腫瘍といった一部の病気も、汗が止まらなくなる病気として知られています。

もちろん、個人差はありますので、「他の人よりも多いから」といって必ず病気なわけではありません。病気かどうかは素人目には判断できませんので、医師に相談すると良いでしょう。

生活習慣を見直して健康的な汗を流そう

不健康な汗とは、粘度が高く白濁とした汗のことです。脂質や糖質などを多く含み、悪臭が漂います。主な原因は血液内にあり、不健康でドロドロした血液ほど、不健康な汗が流れるといえるでしょう。

血中に脂質や糖質などが多いと、高脂血症や血糖症といった病気にもなります。汗が臭い、ネバネバしていると感じる人は、生活習慣を見直して健康的な汗を流せるよう改善しましょう。